プロレタリア国際主義


プロレタリア国際主義」―リッダ闘争の背景として

1)人間は社会生活を営む「類的存在」(マルクス)であるという原則からして、所与的に国境を超える存在として人類は国境を持たない。更にマルクスが「共産党宣言」で高らかに宣言したように「万国の労働者は団結せよ!」がプロレタリア国際主義=インターナショナルの宣言でもあった。賃金奴隷である労働者階級は労働の結合によって組織化され、搾取する資本主義は本能的に世界的であるがゆえに、労働者の解放―社会主義革命は世界性を持たなければ勝利できない。この結果第1インターから第3インターまでプロレタリアートの国際組織が結成されたが、第2インターまではヨーロッパ的形態という限定性をはらんだものであり、第3インター=コミンテルンは労働者祖国―ソ連を頂点とする上位下達であり、むしろナショナリズムを基盤としたものであった。第4インターはトロッキーの世界革命・永続革命を旗印としつつも左翼反対派に止まっている。

2)共産主義者同盟の国際主義

 日本においては日本共産党が60年代に自主独立路線を掲げるまではコミンテルン傘下にあり、むしろ民族ナショナリズム―反米愛国の党であった。それに対し、共産党中央批判派として1958年に登場した共産主義者同盟=ブンドは日本帝国主義が復活したが故に、日本帝国主義打倒を戦略とすることによって国際主義が実現できるという立場をとり60年安保闘争などを指導してきた。

 1966年の第6回大会で統一ブンドとして再編された共産主義者同盟は、ベトナム革命、キューバ革命と連帯し、<2つ、3つのベトナムを出現させ、帝国主義軍隊を分断し、世界各地で人民の戦いを組織する>(チェ・ゲバラ)世界革命路線を提唱し、67年10.8羽田闘争を「組織された暴力とプロレタリア国際主義」の発動と位置づけ、以降の全国反戦闘争を戦い抜いた。ブンドの国際主義は68年「8.3国際反戦集会」の基調報告―世界党・世界赤軍・世界革命戦線と過度期世界論=3ブロック階級闘争の結合―世界同時革命として宣言された。

3)攻撃型階級闘争と国際根拠地論

 革命の現実性をめぐるブンドの党内論争の中から、一向過度期世界論として世界各地の革命闘争の「攻防の弁証法」から能動的攻勢に転じるために赤軍による「前段階武装蜂起」と国際根拠地建設による革命の世界性の獲得を主張し赤軍派が組織された。国際根拠地として措定されたのがキューバでありパレスチナであった。国際根拠地で軍事訓練し、労働者国家の社会帝国主義的勢力を一掃し、民族解放闘争と先進国反帝闘争の3ブロック革命を世界赤軍建軍をもって世界同時に達成するというのが赤軍派の国際路線であった。よど号ハイジャック闘争において北朝鮮の一国性が明らかになり、連合赤軍敗北の中で「国際根拠地論」が否定的に総括される中で、「現実に抑圧され、闘っているパレスチナを始めとした世界の人民に対する共感」を軸に国境を越えた共同作戦・行動を実践し組織され、リッダ闘争を始めハイジャック闘争など実行したのが<日本赤軍>であった。

  

今後の課題―今問われる「国際主義」

問題提起だけにしておきたい

    1989年ベルリンの壁解体、1991年ソ連解体以降、資本の世界性が全面化し、「グローバル帝国」(ネグリ)が登場し、本来国境を超えることを本能とする<資本>が全世界を獲得しているのが現在である。

    環境破壊や、核―原発などが明らかにしてきたのが「世界の有限性とリスク社会」である。こうした現代的課題は世界同時性を持った戦いとして組織されなければ克服できない。国際主義の豊富化や世界の貧困や抑圧に対する<共感>が今求められるインターナショナルではないのだろうか。

今世界の資本主義は「新自由主義」として、競争の自由=弱肉強食によって、格差を拡大定着させて富の集中を図ろうとしている。賃金労働者と階級制を保持しながらも、富の分配に預かっている労働貴族や中間層は、自分たちがずり落ちることを防ぐためにますます排外的になり権力にすり寄っている。「ルンペンプロレタリアート(相対的過剰人口)」と言われた非正規労働者、下層階級が増大し、若者、女性たちと共に変革の原動力になりつつある。こうしたことから「プロレタリア国際主義」の総括が改めて求められている。